フォーラム・シンポジウム報告

令和4年度第27回全国棚田(千枚田)サミット 

 第27回全国棚田(千枚田)サミットが、令和4年10月1日~2日にかけ 棚田をつなぐ人のかけ橋~びわ湖を育む清流の輪~ をテーマに、滋賀県高島市にて開催され、全国から約500人の参加がありました。

 高島市は総面積693平方キロメートルで県内最大の面積を有し、琵琶湖に注ぐ水の約3分の1を生み出しています。市内には、奥山から琵琶湖に至る豊かな自然や風景が15もの百選に選定されているほか、国の重要文化的景観に3箇所が選定されています。また、清らかな湧水と湿潤な気候に恵まれ、古くから発酵食文化が育まれてきました。

メイン会場
メイン会場

 サミットに先立つ9月30日には、令和4年度全国棚田(千枚田)連絡協議会総会があり、令和3年度事業報告および決算、令和4年度の事業計画及び予算案、次期開催地計画、役員改選等の議案について審議され提案どおり了承されました。

 天候にも恵まれて青空の中、サミットは高島市民体育館で開催され、オープニングイベントの歓迎の後、開催地のサミット実行委員会 福井正明 会長(滋賀県高らから挨拶や歓迎のお言葉がありました。

 次に、事例発表として、「中山間地域の取組と活動紹介」と題して滋賀県農村振興課から、○しがのふるさと支え合いプロジェクト、○農山村の新生活様式サポート事業、○たな友制度、といった暮らしの環境を良くして、集落を次世代に繋ぐための取組が紹介されました。

基調講演
 その後、基調講演として「棚田地域の保全と継承」について棚田学会会長 山路永司 氏から、減少を続ける日本の農地面積において棚田を含む中山間地域が食料生産の大きな比重を持っていること、棚田の価値と魅力(観光、芸術、米など)、保全の継承のためにすべきことといった意見がありました。

第2分科会
 午後からは4つの分科会があり、第2分科会では「棚田に根付く“価値”を繋げる~地域産業の振興と次世代への継承~」をテーマに、伝統文化として継承されてきた炭焼きを交流事業として活用し、若者や地域外の人に住みたいと思ってもらえるような地域作りを目指す5人のパネリストから発表がありました。無理に炭焼きを続けていく必要は無いのではという意見や、伝統文化が交流のツールとして役立っているといった意見もあり、多様な見方があるように感じました。

 2日目は、マキノ町のメタセコイヤ並木を視察しました。
 延長約2.4kmにわたり約500本ものメタセコイヤ並木が植えられています。四季折々に魅了するメタセコイヤの姿が評価され、「新・日本の街路樹百景」に選定されています。果樹園も隣接しており、会場は観光客で賑わっていました。しかし、観光客の増加につれて、周辺で新たな建物が増えるのではないか、その結果として今の魅力的な景観が崩れてしまうのではないかという問題もあるそうです。

メタセコイヤ並木
現地

 次回、第28回全国棚田(千枚田)サミットは、令和5年11月17日~19日に和歌山県那須勝浦町にて開催予定です。