フォーラム・シンポジウム報告
平成28年度全国棚田(千枚田)連絡協議会総会・
第22回全国棚田(千枚田)サミット
第22回全国棚田(千枚田)サミットが、平成28年7月14日~15日にかけ
「棚田には夢がある! ~棚田の価値を知り・活かし・継承するために~」をテーマに、新潟県佐渡市“アミューズメント佐渡”を主会場に開催され、全国から約700人の参加がありました。
佐渡市は平成23年に「トキと共生する佐渡の里山」として日本で初めてとなる世界農業遺産(GIAHS、ジアス)に認定されました。
サミットに先立ち、平成28年度全国棚田(千枚田)連絡協議会総会があり、平成27年度事業報告および決算、平成28年度の事業計画および予算案、サミット共同宣言案や開催地計画、役員改選等の議案について審議され提案どおり了承されました。
サミットのオープニングでは、地元の県立羽茂高等学校 郷土芸能部による民謡や舞踊、市立金井小学校の児童らによる合唱で幕が開きました。
開会式では、全国棚田(千枚田)連絡協議会 岸本英雄 会長(佐賀県玄海町長)が主催者挨拶を、開催地のサミット佐渡市実行委員会 三浦基裕 会長(新潟県佐渡市長)が歓迎の挨拶を、また来賓として、泉田裕彦 新潟県知事(代理 寺田副知事)、細田健一衆議院議員、鷲尾英一郎衆議院議員(代理)、小林厚司 北陸農政局長、武内和彦 東京大学教授から祝辞がありました。
事例発表として、地元の県立佐渡総合高等学校の生徒らが「世界農業遺産を通じて考える島の成り立ちとこれから」と題し、トキと共生する里山や伝統的農業の持続可能性を高めることを目的としている「世界農業遺産」を、佐渡金銀山を介した歴史・文化の事例を踏まえて解説・発表が行われました。
続いての基調講演では、マスコミで解説者としても活躍されている(株)日本総合研究所 主任研究員 藻谷浩介氏から、「日本を変える里山のチカラ」というタイトルで、都市・地方を含めた人口動態の変遷や特徴および将来予測を踏まえ、再生循環型の里山づくりが必要であるとした講演がありました。
この後3つの分科会に分かれて議論が交わされ、第2分科会では「棚田には命がある! ~棚田が支える命と共生し活かせば、たくさんの夢が広がる~」をテーマに、食を通した幼児から若者までの教育や人材育成、また様々な実践活動の紹介など、人と資源(自然・伝統文化)が共生していく重要性などが話し合われました。
2日目は、4つのコースに分かれ現地見学会があり、「岩首棚田コース」に参加しました。
島東部にて海沿いの集落から標高350mまで続く丘陵地に連なる棚田で、天気の良い日には海越しに新潟市の建物(県庁など)が望めます。
佐渡金銀山の発展に伴う開田もあり、昭和50年代の基盤整備事業により約27haまで拡大してきましたが、最も小さい田はタタミ1畳にも満たないそうです。
展望台からは、手入れの行き届いた棚田と日本海を望むことができ、地形に沿って複雑な曲線が重なっており美しい眺めですが、棚田の法面はほとんど土羽であり、また曲線を残した区画のため管理の大変さも伺えました。
近年は棚田・里山を守っていくために、都市住民との交流や大学生との協働にも積極的に取り組まれておられ、「棚田応援団」も募集されています。
現地では、地元の方々をはじめ、明るく元気な小学生たちからも歓迎を受け、お茶やだんごをごちそうになり、元気をもらって帰ってきました。
次回、第23回全国棚田(千枚田)サミットは、平成29年9月28日~29日に長崎県波佐見町にて開催の予定です。