フォーラム・シンポジウム報告

平成30年度全国棚田(千枚田)連絡協議会総会・ 第24回全国棚田(千枚田)サミット 

 第24回全国棚田(千枚田)サミットが、平成30年9月8日~9日にかけ 「集う」仲間と「守る」暮らし~北アルプスの水と土で育む棚田の絆~ をテーマに、長野県小谷村にて開催され、全国から約650人の参加がありました。

全国棚田(千枚田)総会
 小谷村は山林が90%を占め、村を南北に流れる姫川沿いに急峻な渓谷を形成しており、山の恵みが豊富なことから山菜類などの特産品や、山岳を活かした観光地としても知られています。
 サミットに先立つ7日には、平成30年度全国棚田(千枚田)連絡協議会総会があり、平成29年度事業報告および決算、平成30年度の事業計画及び予算案、次期開催地計画、役員改選等の議案について審議され提案どおり了承されました。

全国棚田(千枚田)総会
 あいにくの雨空の中、サミットは栂池社会体育館で開催され、オープニングイベントの歓迎の後、開催地のサミット実行委員会 松本久志 会長(長野県小谷村長)らから挨拶や歓迎のお言葉がありました。

 次に、事例ディスカッションとして、「これからの農業を考える~山間地農業の共存のあり方」と題して小谷村長や識者らの意見交換があり、○高齢化進展で棚田の維持が課題、○条件の悪いところが放棄されており農地整備が重要、○放棄が進むと生態系に影響することになる、○生産の場だけではなく教育・福祉の場として捉えることが大切である、といった意見がありました。

全国棚田(千枚田)総会
 午後からは8つの分科会があり、第4分科会では「棚田の保全と整備を考える」をテーマに、棚田の保全がなぜ必要なのか(生産の場、財産の維持、環境の保全等)について意識啓発や、棚田は、条件に応じた整備が必要であり、例えば草刈ができるようあぜに小段を設置する(設計基準掲載済み)といった意見がありました。

全国棚田(千枚田)総会
 第5分科会では「棚田が育む命(いのち)」をテーマに、小谷村で生物調査を行っている東京の大学生3人からは、○棚田には、周りの山地もふくめ、虫を食べる子鳥から猛禽類まで多くの種類が生息している、○秋冬に水をためると昆虫等の種類や個体数が多い、○耕作放棄されると、生態系に影響してしまい、保全と昔ながらの営農が好結果である、といった発表があり、一方、生態系のために棚田を保全してやっていけるのだろうか、といった参加者の意見もありました。

 会場の内外では、物販・展示コーナーが数多く設けられ来場者で賑わっていました。また、夜は全体交流会があり、大勢の参加者で賑わいました。

全国棚田(千枚田)総会
全国棚田(千枚田)総会

 2日目は、小谷村内の現地視察がありました。
 中山間地域整備事業で整備した棚田を見学しました。地元のホタルの会役員からの説明があり、○棚田整備とあわせ、ホタルがいた小川を利用し、用地を取得し直営でホタル水路を整備、○役員は農家ではないが、小川横の民宿のオーナー(県外人)と協力し施行し、今では、夏から秋にかけてホタルが飛び、観光客が増えているとのことです。

全国棚田(千枚田)総会
全国棚田(千枚田)総会

 次回、第25回全国棚田(千枚田)サミットは、平成31年10月12日~14日に山口県長門市にて開催予定です。